みなさんは、これまでにチームビルディングを体験したことはありますか?
日本では、チームビルディング研修という名前で研修とチームビルディングが混在して取り扱われるケースが多く見受けられますが、欧米諸国では、トレーニング(研修)とチームビルディングは別のものとして認識されています。
この記事では、トレーニングとチームビルディングの違いとチームビルディングが世界中で盛んに行われている理由について解説していきます。
チームビルディングとは?
そもそもチームビルディングとは何か?
一言で言うと、チームの関係性を高め、生産性や創造力を向上させることだと考えます。
チームをより良いものにするために必要な要素は沢山あります。
共感するビジョンや戦略、実行に必要なスキルと知識・情報、そしてモチベーションなど数えればキリがありません。
ここでいうチームビルディングは、これらの要素を支える”チームの関係性”を指しています。
そしてその関係性を高めるための鍵となるのが、相互理解となります。
お互いのメンバーがどのようなパーソナリティー(才能や価値観)やアイデアを持っていて、それらを活かし合う関係性があるかどうかがチームのレベルに大きく左右します。
ただし、日常の仕事するだけでは、お互いの本当の部分を見ることは困難です。
だからこそ、あえて時間とコストをかけて、チームビルディングをする必要があります。
チームビルディングが世界で活発な理由
私がチームビルディングに出会った頃には、既に世界中でチームビルディングが行われていました。ヨーロッパやアメリカ、中東では、2000年初期から、アジア圏(特に東南アジア)でも、2010年初期からチームビルディングが盛んに行われていました。
2018年に行った調査では、北欧の某国では、企業がトレーニングよりチームビルディングに投資した金額が上回っていたという結果がありました。
なぜ、ここまで世界でチームビルディングが盛んに行われているのでしょうか?
その理由の一つに、”人材の流動性の高さ”が挙げられます。
海外(特に欧米)ではキャリアに対する意識が高い人が多く、転職は当たり前になっています。人が入れ替わる度にチームビルディングを行ったり、新しいチームが立ち上がる度にチームビルディングを行います。また、さまざまなバックボーンを持った人材で構成されることが多く、人が入れ替わったり、新しいメンバーが入ってきた時に、チームの文化を構築したり、浸透させることが求められるのも理由で挙げられます。
チームビルディングとトレーニングは似て違うもの
北欧のケースで述べた通り、欧米諸国では、トレーニングとチームビルディングを別で考える企業が多数存在します。実際に、トレーニング予算とは別にチームビルディング予算というものが存在します。これはひと昔前の日本企業にもあった社員旅行の費用に似ている感覚だと思います。社員旅行と研修費用は別で考えられていたと思います。
同じように、チームビルディングは、あくまで”チームビルディングを目的とした何か”として予算を組み立てます。
そして、トレーニングは何かを学ぶことを主たる目的とされますが、チームビルディングは、”共通体験による相互理解”を主たる目的に使われます。
そのため、チームビルディングをしようとなると、チームメンバーが”純粋に楽しめる体験”をベースとした企画がなされることが多いです。
前職で、とある某超有名な外資系企業の担当をした時に、そのHRの責任者に「チームビルディングによって何を学ばせたいか?」という質問をした時に、「何を学ばせるかではなく、彼らがお互いに対する気づきを与えるのが目的」と返答が返ってきたのを今でも鮮明に覚えています。
彼らにとって、チームビルディングとは、言葉の通り、チームビルディングであって、ラーニング(学ぶ)とは別ものであるという認識なのです。
これからの時代チームビルディングが企業成長の鍵となる
VUCAと呼ばれる現代において、日本でもチームビルディングがとても重要になっていくと予想されます。終身雇用の終焉を迎え、年齢・性別を問わず、実力や才能で評価され始めてきた今だからこそ、本質的なマネジメントが求められています。もっと言えば、マネジメントではなく、自律して相互に関わり合うチーム運営が求められていくことでしょう。
一人ひとりを自律させ、チームの関係性を強化していくことで、生産性の高いチームを作っていく必要があります。
また、テレワークが普及したことによって、働き方が多様化したこともチームビルディングが必要となる理由となり得ます。孤立して、遠隔からのコミュニケーションだけでは、チームメンバーの本質的な部分というは見えづらいものです。
特に新しく入社したメンバーにとっては、テレワークが引き起こす育成の煩雑化や、コミュニケーションの希薄化は、自身が今後どのようにして成長し、貢献していけば良いのかがわかりづらくなっています。
チームビルディングによって相互理解とコミュニケーションを促進し、自社のチームを次のステージに押し上げることが、企業の成長には欠かせなくなることでしょう。
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この記事を書いた人
納土 哲也
岐阜県飛騨高山市生まれ。
人財育成・組織開発のコンサルタントとして、100社以上の企業の人財育成・教育体系の構築を手がける。2014年にチームビルディング事業の事業責任者として立ち上げに従事。
2018年に本場のチームビルディングを学ぶため、オーストラリアへ単身留学。現地のチームビルディング企業で、ゲーミフィケーションをベースとしたチームビルディングメソッドを学び、2019年に帰国。2021年に株式会社Teamieを創業。