働き方が多様化してきた現代において、チームの重要性が高まってきています。
一方で、テレワークによるコミュニケーション不足によってモチベーションが低下したり、部下の育成が難しくなったりと企業にとって新しい課題が顕在化してきました。
そのため、チームビルディングによって、コミュニケーション不足を解消し、お互いのことを深く知り合うことで生産性をあげていく、そのために企業は積極的な投資をしていくことが必要とされています。
このチームビルディングに有効だと言われているのが、ゲーム(ゲーミフィケーション)です。
仕事にゲーム?!と感じられる方も多いかと思いますが、このゲーミフィケーションといった手法には、仕事の生産性を高める効果を証明するちゃんとした学術的な背景があります。
今回は、ゲーム(ゲーミフィケーション)がもたらす効果とその理由についてご紹介をします。
「チームビルディングとは?」についてもっと深く知りたい方は「トレーニングとは違う?!チームビルディングが世界中で行われている理由」をご覧ください。
1.そもそもゲーミフィケーションとは?
ゲーミフィケーション(gamification)とは、ゲームデザインの要素を他(ゲーム以外)の分野に応用することを言います。産業によって、ゲーミフィケーションの定義やニュアンスが少し違うことに注意が必要ですが、広域な意味にはゲームデザイン(人の心理や動機に着目してのめり込むデザイン)を応用し、より社会的価値のあるものに発展させるすることを指すことが多いです。
世界中で、このゲーミフィケーションを活用したサービスや商品がたくさんリリースされており、さまざまな産業でも注目されています。
【2022年最新版】社会問題を解決に導く、ゲーミフィケーション活用事例13選 IDEAS FOR GOOD
ビジネスにゲームの要素を取り入れることで、ゲームをやっている時のような没頭感や達成感を感じられるサービスを開発・提供できるというわけです。
2.ゲーミフィケーションに必要な要素とは?
ゲーミフィケーションを上手く応用していくためには、どのような点に留意すれば良いのかについて解説をしていきます。ゲーミフィケーションには以下の要素が必要となります。
1.目標・ゴール
ゲームにおけるクリア条件や勝利条件にあたるのがこの目標です。何を目指し、どうしたら達成することができるのかを明確にすることが重要です。例えば、RPGではラスボスを倒すこと、ボードゲームでは目的地を目指しながらたくさんの資産を蓄積することなどが挙げられます。
ここで注意するべきところは、最終ゴールと過程ゴールが存在することです。
先ほど挙げたRPGでは、ラスボスを倒すといった最終ゴールはあるものの、仲間を集めることや、レベルを上げる、レアな武器や防具を手に入れるといった過程におけるゴールも設定されています。
また、目標・ゴールは共感されるものでなければいけません。参加者が「これは是非達成したい!」と思うようなゴール設定が重要となります。
2.報酬
クリアした際に得られる報酬を明確にしておくこともゲーミフィケーションにおいてとても重要となります。ただ、報酬は必ずしも金品である必要はありません
称号を得られるとか、レアな情報が得られるとか、周囲から認知されるとか、心理的に満たされることであれば報酬として十分となります。
3.可視化
意外と重要なのが、この可視化です。例えば、レベルであったり、タイムリーなランキングが可視化されていることがプレイヤーの更なるモチベーションを引き出してくれます。
可視化によるタイムリーな達成感が「もっと頑張って上を目指そう!」といったモチベーションにつながります。
3.ゲーミフィケーションがチームビルディングに有効な理由
ここまでゲーミフィケーションについて解説をしてきましたが、ここからは本題である何故ゲーミフィケーションがチームビルディングに有効なのかについて解説をしていきたいと思います。
【理由その1】ゲームは人柄が出やすく相互理解を促進してくれる
ゲームは、人の心理を上手く突いてモチベーションが高まるようにデザインされています。
そのため、”その人らしさ”が出てきやすいのがゲーム・ゲーミフィケーションの特徴です。
具体的な例として、イギリスのゲーム研究者であるリチャード・バートルが提唱した理論に「バートル理論」というものがあります。リチャード・バートルは人がゲームに夢中になる心理を大きく4タイプに分けました。
・アチーバー(達成者)
アチーバータイプの人は、達成することに高いモチベーションを持ちます。ゲームでいうと、1位になるとか、レベル上げに没頭する人がこのアチーバータイプとなります。
仕事でも、営業目標や製造計画の達成といったゴールが明確なことに強い情熱を注ぎます。
・エクスプローラー(探求者)
エクスプローラーの人は、新しい発見に高いモチベーションを持ちます。ゲームでいうと、隠された武器を探すとか、誰もやったことのない新しいクリア方法を見つけるといったことに没頭します。
仕事では、新しいアイデアを発見したり、事象を深掘りし理由を突き詰めていくことに強い情熱を注ぎます。
・ソーシャライザー(社会者)
ソーシャライザーの人は、人との交流に高いモチベーションを持ちます。ゲームでいうと、ソーシャルゲームで人と交流したり、攻略について人と意見交換したりといったことが好きな人がソーシャライザータイプとなります。
仕事では、チームの意見を聞いたり、他の部署の人と交流しながら仕事を進めることに情熱を注ぎます。
・キラー(勝負者)
キラーの人は、相手を倒し勝利することに高いモチベーションを持ちます。ゲームでいうと、対戦ゲームで相手を打ち負かすことが好きな人がこのキラータイプとなります。キラーというとあまり良くない印象を受けがちですが、「勝ちたい!」と言う誰しもが持つ欲求を高く持っているというだけです。
仕事では、競合相手を分析し、どのようにして市場を取るかといったことに強い情熱を注ぎます。
以上のように、ゲームは様々なタイプに応じて没頭するようにデザインされているものが多く、「その人らしさ」を知る機会を提供してくれます。
そのため、チームビルディングの要である相互理解を促進してくれるのにゲームはとても有効な手段と言えます。
【理由その2】共通の目標を達成することがチームを強くする
共通の目標をチームで協力をして達成すると、結束力が格段に上がります。これはゲームに限る話ではありませんが、特に協力型のゲームは結束力があがるようにデザインされています。
ゲームはゴールが細かく設定されているため、ひとつひとつを達成する毎に自然にお互いを称賛しあうようになります。
そして最終ゴールである共通の目標を達成した時には、一人では決して達成することができなかったことに気づきます。そのことが相手への感謝やチームへの誇りを高めてくれます。
何故、共通の目標と承認し合う関係性がチームを強くするのかについては、こちらのブログ「チームビルディングに必要な要素とは?自分たちのチームの状態を客観視してみよう!」で紹介しておりますので是非ご覧ください。
仕事でもスポーツでも共通のゴールを達成するとチームワークを高めてくれますが、ゲームではそれを科学的にデザインされているため、チームビルディングに有効活用することができます。
4.おすすめのゲーミフィケーションを使ったチームビルディング3選
1.コンセンサスゲーム「NASAゲーム」
コンセンサスゲーム「NASAゲーム」は、チームで議論をしてコンセンサス(合意形成)を取り付けるといったチームビルディングゲームです。
もともとは、NASA(アメリア航空宇宙局)の採用試験として独自に開発したゲームと言われています。
チームがどのようにして合意形成していくのか?チームメンバーによってカラーが出るため、自分たちのチームを知るのにとても有効なチームビルディングゲームとなっています。
コンセンサスゲーム「月面からの脱出」あそび DE まなぶ
2.高い塔を建設せよ!「マシュマロチャレンジ」
マシュマロチャレンジは、TEDでも紹介されているとても有名なチームビルディングゲームです。
パスタとマシュマロ、テープ、紐を使って出来るだけ高い塔を立てるといった競争型のチームビルディングゲームとなります。
チームビルディングゲーム マシュマロチャレンジ 日本マシュマロチャレンジ協会
マシュマロを使ってPDCAやイノベーションを学ぶことができるユニークなチームビルディングゲームとなっています。
3.VRで謎解き?!チームで協力して犯人を特定せよ「Hotel Homicide」
「Hotel Homicide」はVRの世界で繰り広げられる殺人事件をチームの力で解決に導く最先端チームビルディングゲームです。
VRチームビルディングアクティビティ「Hotel Homicide」
VRゴーグルをつけたメンバーが見えている状況を上手く説明し、他のメンバーが持っている情報をもとに解読することで謎を解決することができます。
コミュニケーションの重要性やメンバーの特性を学ぶことができるチームビルディングゲームです。
5.まとめ
今回、ゲームがチームビルディングに有効な理由について解説をしていきましたがいかがでしたでしょうか?
仕事でゲーム?と思われる方も多いかもしれませんが、実はゲームにはビジネスに関連することが沢山あり、そこから学ぶことが多いのです。
もし、従業員のモチベーションが上がらず悩んでいるのであれば、仕事にゲーミフィケーション(ゲーム化)を取り入れてみてはいかがでしょうか?
チームビルディングゲームをお探しの方は、お気軽にこちらからお問い合わせください。
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この記事を書いた人
納土 哲也
岐阜県飛騨高山市生まれ。
人財育成・組織開発のコンサルタントとして、100社以上の企業の人財育成・教育体系の構築を手がける。2014年にチームビルディング事業の事業責任者として立ち上げに従事。
2018年に本場のチームビルディングを学ぶため、オーストラリアへ単身留学。現地のチームビルディング企業で、ゲーミフィケーションをベースとしたチームビルディングメソッドを学び、2019年に帰国。2021年に株式会社Teamieを創業。