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組織文化の作り方|拡大期スタートアップが最初にすべきこと

 

組織文化の作り方|拡大期スタートアップが最初にすべきこと

はじめに

「10人のころは自然とチームの空気が揃っていたのに、30人を超えたあたりからなんとなくバラバラになってきた……」

そんな感覚を覚えたことはないでしょうか。組織文化の作り方に悩む経営者・マネージャーから、よく聞く声です。

この記事では「言語化→制度化→浸透」の3フェーズで、組織文化を設計・定着させる具体的な手順をスタートアップ目線で解説します。メルカリ・Sansan・サイバーエージェントなど国内事例を交えながら、明日から取り組める施策をご紹介します。


スタートアップの組織文化が崩れやすい理由——「30人の壁」とは何か

組織文化とは、チームの「日常のあたりまえ」の総体です。意識せずとも共有されている価値観・行動パターンの集まり、と言い換えてもいいでしょう。

急成長中のとあるスタートアップでの話です。創業から2年で社員数が15人から40人へと一気に増えました。この時期に初めて「採用面接で何を聞けばいいかわからない」「新しいメンバーが馴染めずに辞めてしまう」という悩みが、経営チームに広がりはじめました。

カルチャーミスマッチによる早期離職は、採用コストの3〜4倍ものコストを生じさせるというデータがあります。社員数30人・100人の節目で文化崩壊が起きやすいと言われるのは、「暗黙知が通用しなくなる」タイミングと重なるからです。経営陣が感じている文化と現場が感じている文化にギャップが生まれる——これが最初のサインです。

暗黙知として機能していた文化が、採用拡大で一気に希薄になる

創業初期は「空気感」で共有されていた価値観が、中途採用やリモート化によって伝わらなくなります。「バリューズを作ったけど浸透しない」と感じる背景には、3つの本質的な原因があります。

  • ①制度(採用・評価・1on1)と切り離されている
  • ②経営主導で現場の声が入っていない
  • ③定着したかどうかを測る仕組みがない

スタートアップが「文化崩壊」に気づくサイン

組織文化が崩れ始めると、現場では次のような変化が見えてきます。

  • カルチャーミスマッチによる早期離職が増える
  • 「なぜこの意思決定をしたか」が現場に届かなくなる
  • 採用面接で「社風を教えてください」と聞かれて答えに詰まる

一つでも当てはまるなら、文化の言語化に着手するタイミングかもしれません。


「うちらしさ」を言葉にする——チームで実践できる言語化ワーク

競合記事の多くは「バリューズを作ろう」と言うだけで、具体的な手順を示しません。ここでは、チームで取り組める3ステップの言語化ワークを紹介します。

Sansan社は、バリューズ策定の際に創業メンバーと現場代表を集めた3時間のワークショップを実施しました。「外から持ってきたきれいな言葉」ではなく「チームの内側から出てきた言葉」にしたことで、現場への浸透スピードが大きく変わったといいます。巻き込む人は「創業メンバー+現場代表」が理想です。時間は3時間を目安にしてください。

ステップ1:「最高のチームだった瞬間」を付箋で引き出す

ワークで使う問いの例はこちらです。「このチームが一番いい状態だったとき、そこにはどんな言葉・行動があったか?」

一人3〜5枚の付箋に書き出し、評価・批判なしで全員の声を引き出すルールを設けます。このフェーズでは心理的安全性の確保が前提条件です。心理的安全性を高める方法についてはこちら

ステップ2:クラスタリングして行動パターンを抽出する

付箋を似たテーマでグルーピングし、各クラスターに「この行動が生まれる背景にある価値観」を命名していきます。

命名は「行動ベース(〜する)」で表現することをおすすめします。「誠実さ」のような抽象語より「困ったときにまず声を上げる」のほうが、現場に届きやすいからです。

ステップ3:バリューズとして言語化・カルチャーデックに落とす

バリューズは3〜5個に絞り込みます。多すぎると機能しません。Notionで作れる最小のカルチャーデック構成はこちらです。

  • ①ミッション(なぜ存在するか)
  • ②バリューズ(各1〜2行の説明+行動例)
  • ③カルチャーフィットの定義(どんな人と働きたいか)

メルカリはカルチャーデックを外部公開することで、「カルチャーへの共感」を持った応募者が増えたといいます。透明性が採用ブランドにもつながる好例です。


「作って終わり」にしない——文化を制度に落とす3点セット

バリューズが壁に貼られたまま形骸化している——そんな組織に共通するのは、文化が制度と切り離されていることです。「採用・評価・1on1」の3つが文化と連動することで、初めて文化が”生きる”ものになります。

まず一つだけ試すなら、採用面接へのカルチャーフィット質問の組み込みが最も着手しやすいでしょう。

採用面接にカルチャーフィット質問を組み込む

バリューズを逆算して質問を設計することで、カルチャーフィットを見極めやすくなります。具体的な質問例を挙げます。

  • 「過去の職場でどんな行動が周囲から評価されましたか?」
  • 「意見が対立したとき、あなたはどうアプローチしますか?」
  • 「チームで一番達成感を感じた経験を教えてください」

回答から「自社のバリューズと重なる行動パターンがあるか」を確認するのがポイントです。

評価制度にバリューズ評価を連動させる

半期評価の20〜30%をバリューズ体現度に割り当てる設計が有効です。ただし「何をもって体現したと判断するか」の定義が重要になります。

行動指標(ルーブリック)を作成することで、評価者によるブレを防ぐことができます。サイバーエージェントはABEMAの立ち上げ期に、スピードと挑戦を重視する評価文化を制度に組み込み、全社への浸透を加速させました。

1on1で文化の実践を振り返る習慣をつくる

月1回の1on1に「今月バリューズを体現できたと感じたエピソードは?」を定例質問として加えてみてください。この一言があるだけで、メンバーは日常業務を「文化との接点」として意識するようになります。エンゲージメントの向上にも効果的です。1on1を活かしたエンゲージメント向上の習慣はこちらも参考に


リモート・ハイブリッドチームでも文化を届ける施策

「文化はオフィスの空気感で伝わっていた」——この前提が崩れた今、意図的に文化を届ける仕組みが必要です。大事なのはツールを入れることより、その設計です。

Notionで組織文化を「見える化」する

カルチャーデックをNotionに公開し、全員がいつでも参照できる状態にします。さらに、Slackに「#バリューズ体現シェア」チャンネルを作り、日常的な文化の可視化を促す設計も有効です。「今日こんな場面でバリューズを意識した」という小さな投稿が、文化を生きたものにしていきます。

オンボーディングに文化伝播のチェックリストを組み込む

入社初週に文化を届けるための3ステップです。

  • ①カルチャーデックを読む(入社1日目)
  • ②バディとカルチャーについて話す(入社3日以内)
  • ③1on1でQ&Aを行う(入社1週間以内)

この流れを標準化するだけで、リモートメンバーの文化的な孤立を防ぐことができます。文化浸透の入口として、メンバーの強みを事前に把握しておくことも効果的です。


組織文化の浸透度を「感覚」から「数値」で把握する

「組織文化の浸透度をどう測ればいいかわからない」——定性的なテーマだからこそ、シンプルな定点観測が助けになります。測る目的は管理ではなく、改善のためです。

パルスサーベイ・eNPS・カルチャースコアの3指標

現場のマネージャーがすぐに使い始められる3つの指標を紹介します。

パルスサーベイは週次・隔週で5問以内の簡易アンケートです。チームの健康状態をリアルタイムに把握できます。

eNPS(Employee Net Promoter Score)は「この会社を友人に勧めたいか?」という問いを月次で計測します。シンプルながら、文化への共感度が如実に表れます。

カルチャースコアは、バリューズの各項目について「体現できているか」を5段階で自己評価するものです。四半期ごとにスコアを振り返り、浸透できていないバリューズを1on1や全体MTGで掘り下げることで、文化は育ち続けます。


まとめ

組織文化の作り方について「言語化→制度化→浸透」の流れで解説しました。ポイントを整理します。

  • 組織文化の崩壊は「30人の壁」が最初のターニングポイント
  • 文化の言語化はチームワークショップで行動ベースで引き出す
  • 採用・評価・1on1の3点セットで文化を制度に接続する
  • リモート環境ではNotionとオンボーディング設計が文化浸透の鍵
  • パルスサーベイ・eNPSで浸透度を定点観測する

組織文化の設計・浸透でお悩みの場合は、Teamieのワークショップ型チームビルディングもご活用ください。チームで”うちらしさ”を引き出すプログラムをご用意しています。

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この記事を書いた人

納土 哲也

岐阜県飛騨高山市生まれ。
人財育成・組織開発のコンサルタントとして、100社以上の企業の人財育成・教育体系の構築を手がける。2014年にチームビルディング事業の事業責任者として立ち上げに従事。
2018年に本場のチームビルディングを学ぶため、オーストラリアへ単身留学。現地のチームビルディング企業で、ゲーミフィケーションをベースとしたチームビルディングメソッドを学び、2019年に帰国。2021年に株式会社Teamieを創業。

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