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スタートアップの組織文化の作り方5ステップ【新年度版】


スタートアップの組織文化の作り方5ステップ【新年度版】

はじめに

4月、新しいメンバーを迎えた今こそ、組織文化の作り方を再考する絶好のタイミングです。

「MVVを作ったのに、誰も覚えていない。」
「創業当初の空気感が、気づいたら薄れていた。」
こうした声を、成長期のスタートアップから頻繁に聞きます。

本記事では、50〜300名規模のスタートアップが実践できる5つのステップを紹介します。
Netflix・Airbnbの事例から学べるエッセンスも、日本の現場向けに翻訳してお伝えします。
「組織文化は作るものではなく、育てるもの」という視点で読んでいただければ幸いです。


「MVVを作ったのに浸透しない」は仕組みの問題

MVV策定ワークショップ

人数別・組織文化の課題マトリクス(〜30名/30〜100名/100〜300名)

組織文化の浸透を阻む課題は、チームの人数によって異なります。
自社のフェーズを確認してみてください。

〜30名フェーズ:暗黙知の言語化が急務
創業メンバーの間では「なんとなく通じていた」ルールが、
新しいメンバーには伝わりにくくなります。
「うちのやり方」を言葉にするタイミングです。

30〜100名フェーズ:制度化・ドキュメント化
口頭での伝言が限界を迎えます。
採用・評価・オンボーディングへの組み込みが必要になる時期です。

100〜300名フェーズ:部門間のカルチャー統一
部門ごとに文化が分断されるリスクが高まります。
「うちの部は別の会社みたい」という状態を防ぐ設計が必要です。

参考にすべき外資系事例:Netflix・Airbnbから学ぶ「文化の設計思想」

Netflixが2009年に公開した「Culture Deck」は、シリコンバレーに大きな影響を与えました。
その核心は「大人として扱う」「コントロールではなくコンテキストを与える」という思想です。

細かいルールで縛るのではなく、判断の文脈(コンテキスト)を共有することで、
メンバーが自律的に動ける環境を作ったのです。

AirbnbのMission「Belong Anywhere(どこでも家のように)」は、
採用・空間・体験設計のすべてに一貫して反映されています。
採用面接から入社後の空間設計まで、あらゆる接点で「Belong」を体現しています。

「Netflix流」を日本のスタートアップに応用するための3つの問い

外資系事例をそのまま真似しても、うまくいかないことが多いです。
大切なのは「自社への翻訳」です。

以下の3つの問いを、チームで話し合ってみてください。
– 「うちの会社で『大人として扱う』とはどういう状態か?」
– 「ルールではなくコンテキストで動けているか?」
– 「うちのMissionは、日常の意思決定の場面で判断軸になっているか?」

この問いへの答えが、自社の組織文化設計の出発点になります。


Step1:現状の組織文化を「言語化」する

「今の文化を知らずして、理想の文化は作れない。」
まず、今チームにある文化を正直に棚卸しすることから始めましょう。

良い文化も、直したい文化も、フラットに見ることが大切です。
サーベイに率直な意見が集まるためには、心理的安全性の土台が欠かせません。

心理的安全性が高まると、サーベイに率直な意見が集まりやすくなります

現状サーベイで使える3つの質問例

匿名サーベイや1on1で、次の3つの問いを試してみてください。

  1. 「このチームで働いていて『らしいな』と感じる瞬間はいつですか?」
  2. 「新しいメンバーにチームの文化を一言で伝えるとしたら、何と言いますか?」
  3. 「今のチームに『もっとこうだったらいいのに』と感じることはありますか?」

シンプルな問いほど、本音が出やすくなります。
集まった言葉をキーワードで分類するだけで、自社の文化が浮かび上がってきます。


Step2:MVVをチームで「共創」する

MVVを経営陣だけで作って配布すると、メンバーの当事者意識は育ちにくくなります。
「共創型」で作ることで、浸透のスピードが大きく変わります。

チームで作ったバリューは「自分たちのもの」になります。
日常の意思決定の場面で、自然と参照されるようになるのです。

強みを活かし合うチームの作り方|診断ツール活用事例

バリュー共創ワークショップの進め方(60分テンプレ)

次の流れで、60分のワークショップを設計できます。

  • アイスブレイク(5分):「最近チームで一番嬉しかった出来事」を一言シェア
  • 個人ワーク(10分):「このチームらしさ」を付箋に3〜5枚書き出す
  • グループ共有(15分):付箋を貼り出し、似たものをグルーピング
  • 投票・絞り込み(15分):1人2票で重要なバリューを選ぶ
  • 言語化・合意(15分):選ばれたバリューをチームの言葉で表現する

バリューは3〜5個に絞ることをおすすめします。
多すぎると覚えられず、日常では使われなくなってしまうからです。


Step3:カルチャーデッキ/カルチャーガイドに落とし込む

口頭での文化伝達には限界があります。
人数が増えるほど、伝言ゲームで内容が歪んでいきます。

カルチャーデッキとは、チームの価値観・行動規範・意思決定の原則を
1つのドキュメントにまとめたものです。
Notionでも、Google Slidesでも、作り始めることに意味があります。

カルチャーデッキに含めるべき6つの要素チェックリスト

以下の6要素を含めることで、実用的なカルチャーデッキになります。

  • ① ミッション・ビジョン:なぜこの会社があるのか、どこへ向かうのか
  • ② バリューと行動規範:どんな行動がこのチームらしいか
  • ③ 意思決定の原則:迷ったとき、何を優先するか
  • ④ コミュニケーションスタイル:どう話し合い、どう意見を伝えるか
  • ⑤ 採用で重視すること:どんな人と働きたいか
  • ⑥ アップデート方針:いつ、誰が、どう更新するか

「完璧を目指さず60点で公開し、使いながら育てる」という姿勢で進めましょう。


Step4:採用・オンボーディングにバリューを組み込む

「採用時にバリューを確認していなかった」ことが、後々の文化崩壊につながるケースは多いです。
採用の段階でバリューとの整合性を確認することで、入社後のミスマッチを防げます。

カルチャーフィット面接で使えるバリュー別・行動質問例

バリューを「行動質問(Behavioral Question)」に変換するのがポイントです。

例えば「誠実さ」というバリューなら:
→「過去に、正直に伝えることが難しかった場面を教えてください。どう対処しましたか?」

「学び続ける」なら:
→「最近、自分の失敗から学んだことを具体的に教えてください。」

Airbnbは採用面接に「カルチャー担当者」を加え、
バリューとの整合性を全員が確認する仕組みを設けています。
採用基準にバリューを組み込んだ結果、離職率が下がったという事例は国内外に数多くあります。

オンボーディングでは、入社初日にカルチャーデッキを読む時間を必ず設けましょう。
「カルチャーパートナー」として先輩メンバーをアサインするのも効果的です。


Step5:評価・表彰制度とバリューを連動させ継続的に強化する

文化の定着には、「評価と連動させること」が最も重要です。
人は評価される行動をとります。
バリューが評価に含まれていなければ、日常で使われなくなっていきます。

バリュー体現を評価に組み込む3つの実践ステップ

ステップ①:評価シートへのバリュー項目追加
半期評価に「バリューをどう体現したか」の項目を追加します。
配点例:成果70%、バリュー体現30%。

ステップ②:四半期ごとのバリューアワード設計
「このバリューを最も体現したメンバー」を全社で表彰する制度を作ります。
ノミネートをチームメンバー同士が行うピア形式にすると、さらに効果的です。

ステップ③:Slackでのバリュー体現シェア文化
毎週1回、#cultureチャンネルで「このバリューを感じた出来事」を投稿します。
日常の小さな場面にバリューを見つける習慣が、文化の定着を加速します。

組織文化は、1年単位で育つものです。
焦らず、続けることが一番の近道です。


まとめ

5つのステップを、改めて整理します。

  • Step1:現状の組織文化を言語化する(サーベイ・1on1・カルチャーマッピング)
  • Step2:MVVをチームで共創する(トップダウンでなく巻き込み型で)
  • Step3:カルチャーデッキ・カルチャーガイドに落とし込む
  • Step4:採用・オンボーディングにバリューを組み込む
  • Step5:評価・表彰制度とバリューを連動させ継続強化する

まず今月中にやってほしいことは、Step1だけです。
チームメンバーに3つの質問を投げかけてみてください。
そこから見えてきた言葉が、組織文化を育てる最初の一歩になります。

組織文化は「作るもの」ではありません。
チーム全員で「育てるもの」です。

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この記事を書いた人

納土 哲也

岐阜県飛騨高山市生まれ。
人財育成・組織開発のコンサルタントとして、100社以上の企業の人財育成・教育体系の構築を手がける。2014年にチームビルディング事業の事業責任者として立ち上げに従事。
2018年に本場のチームビルディングを学ぶため、オーストラリアへ単身留学。現地のチームビルディング企業で、ゲーミフィケーションをベースとしたチームビルディングメソッドを学び、2019年に帰国。2021年に株式会社Teamieを創業。

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