チームエンゲージメントを向上させる施策5選【失敗事例と解決策】
はじめに
Gallupの調査によると、チームエンゲージメントが高い組織は生産性が21%高く、
離職率は59%低いというデータがあります。
にもかかわらず、日本のエンゲージメントスコアは世界的に見ても低水準のままです。
「施策を打ったのに、3ヶ月で元に戻ってしまった。」
そんな経験をしたマネージャーやHR担当者は、少なくないはずです。
本記事では、続かなかった施策の共通パターンを明らかにしながら、
スタートアップ・外資系チームで実際に機能している5つの施策を紹介します。
「なぜ続くのか」のメカニズムまで含めて、丁寧に解説していきます。
エンゲージメント施策が「3ヶ月で形骸化する」本当の理由
そもそも「チームエンゲージメント」とは何か(30秒で理解する定義)
エンゲージメントとは、「仕事への熱意・チームへの貢献意欲・組織との一体感」の3つを指します。
よく混同される「従業員満足度」とは異なります。
満足度が「今の環境に不満がないか」なら、
エンゲージメントは「チームや仕事に自らエネルギーを注いでいるか」です。
この違いを理解することが、施策設計の出発点になります。
「楽しかった」で終わる施策と「変化を生む」施策の違い
形骸化する施策には、3つの共通パターンがあります。
パターン① トップダウン施策
「やらされ感」が強く、メンバーの当事者意識が育ちません。
月1回の全体ランチ会を経営陣が企画しても、3ヶ月後には参加率が落ちていた、
というのはよくある話です。
パターン② KPI・測定なし
施策の前後でスコアを計測していないため、効果の検証も改善もできません。
感覚で「盛り上がった」と判断しているうちは、サイクルが回りません。
パターン③ 担当者の属人化
熱量のある担当者が1人いるだけで動いている施策は、
その人が異動した瞬間に止まります。
Gallupの「State of the Global Workplace 2024」によると、
日本のエンゲージメントスコアは世界平均を大きく下回っています。
「施策を打てばいい」ではなく、「続く仕組みを設計する」という発想への転換が必要です。
個人のやりがいを引き出す施策(施策①②③)
エンゲージメントは組織全体で高めるものですが、起点は個人の体験です。
このセクションで紹介する3つの施策に共通するのは、
「個人が主語になれる設計」という視点です。
「やらされ感」ではなく「自分がやりたい」と感じる環境を、意図的に作りましょう。
施策①:強みを活かした役割設計(ジョブクラフティング)
人は自分の強みを活かせる仕事に、最もエネルギーを注ぎます。
ジョブクラフティングとは、与えられた仕事を自分向けに再設計する考え方です。
タスク・関係性・認知の3軸で仕事を見直すことで、
同じ業務でも「自分ごと」に変えることができます。
1on1で今日から使える問いかけ:
「今の仕事で一番エネルギーが出る瞬間はいつですか?」
この問いに答えてもらうだけで、本人も気づいていなかった強みが浮かび上がることがあります。
強みを起点にした役割設計は、エンゲージメントを底上げする最短ルートの一つです。
[強みを活かし合うチームの作り方【診断ツール活用事例】はこちら]
施策②:心理的安全性を土台にしたフィードバック文化の構築
「フィードバックが怖い・言いにくい」職場では、エンゲージメントは育ちません。
言いたいことが言えない環境では、仕事への本気度も上がらないからです。
フィードバックを安全にするフレームワークとして、SBIモデルが有効です。
– S(Situation):いつ・どんな場面での話か
– B(Behavior):具体的にどんな行動があったか
– I(Impact):それがどんな影響をもたらしたか
「あなたの昨日の資料、クライアントへの配慮が細かくて助かりました(S・B・I)」
という形で伝えると、受け取る側も安心しやすくなります。
導入のコツは、まずマネージャー自身が「フィードバックをもらいに行く」姿勢を見せることです。
上が動くと、チーム全体の文化が変わっていきます。
[心理的安全性の高め方|チームに変化をもたらす5つのアクション]
施策③:成長実感を生む1on1の設計(キャリア対話)
「成長している実感」は、エンゲージメントの最大ドライバーの一つです。
Gallupの調査でも、成長機会の有無が離職意向と強く相関しています。
ただし、進捗確認ばかりの1on1では成長実感は生まれません。
「業務の進み具合を確認するMTG」と
「キャリアや成長を語る1on1」を、明確に分けることが重要です。
月1回30分のキャリア1on1で使える質問例:
– 「1年後、どんな仕事ができていたいですか?」
– 「今、自分の成長の壁になっていると感じることは何ですか?」
– 「最近、自分が一番成長を感じた瞬間を教えてください。」
これらの問いに答えることで、メンバー自身が「自分の成長方向」を言語化できます。
マネージャーとしてはそれを支援する役割に徹しましょう。
チーム全体のつながりを強化する施策(施策④⑤)
個人のやりがいだけでは、エンゲージメントの持続性は生まれません。
「チームとして一緒にいたい」という感覚が、長期的なエンゲージメントを支えます。
施策④と⑤に共通するテーマは、「お互いを知り・認め合う仕組み」です。
施策④:チーム内の貢献を可視化する(ピアレコグニション)
「評価は上司がするもの」という固定観念を、一度外してみてください。
チームメンバー同士が互いの貢献を認め合う「ピアレコグニション」は、
自己有用感とチームの一体感を同時に高めます。
少人数のスタートアップでも、Slackだけで始められる方法があります:
– #ありがとうチャンネルを作り、週1回誰かへの感謝を投稿する
– リアクション絵文字を「承認スタンプ」として使う文化を作る
ツールとして余裕があれば、Bonuslyのようなピアレコグニション専用サービスも有効です。
小さな「ありがとう」を可視化するだけで、チームの雰囲気は確実に変わります。
施策⑤:チームビルディングイベントを「非日常体験」として定期設計する
「1回やって終わり」のチームビルディングは、エンゲージメントに長続きしません。
効果が持続するチームビルディングには、3つの条件があります:
– ①共通体験:全員が同じ瞬間を一緒に経験する
– ②振り返りの場:体験直後に「気づき」をシェアする時間を持つ
– ③日常への接続:体験で生まれた会話を、翌日以降の業務に引き継ぐ
リモート・ハイブリッド環境でも、バーチャル体験を活用することで
非日常感を演出することができます。
体験の「質」にこだわることで、チームに残るものが変わります。
まとめ
「施策より先に、続く仕組みを設計する」。
それが、本記事で伝えたかった核心です。
5つの施策を2つのグループで整理します。
【個人のやりがいを引き出す施策】
– 施策①:強みを活かした役割設計(ジョブクラフティング)
– 施策②:心理的安全性を土台にしたフィードバック文化の構築
– 施策③:成長実感を生む1on1の設計(キャリア対話)
【チーム全体のつながりを強化する施策】
– 施策④:ピアレコグニションで貢献を可視化する
– 施策⑤:チームビルディングイベントを非日常体験として定期設計する
まず始めるなら、エンゲージメントの現状を数値で把握するところからです。
サーベイを実施し、今のチームのリアルを可視化してみてください。
スコアが見えると、どの施策から手をつけるべきかが自然と見えてきます。
Teambuilding のためのチームビルディングやワークショップ一覧





この記事を書いた人

納土 哲也
岐阜県飛騨高山市生まれ。
人財育成・組織開発のコンサルタントとして、100社以上の企業の人財育成・教育体系の構築を手がける。2014年にチームビルディング事業の事業責任者として立ち上げに従事。
2018年に本場のチームビルディングを学ぶため、オーストラリアへ単身留学。現地のチームビルディング企業で、ゲーミフィケーションをベースとしたチームビルディングメソッドを学び、2019年に帰国。2021年に株式会社Teamieを創業。

